カテゴリ: 学会・セミナーなど

NHK BSフロンティア「 東洋医学とは何か」- 東洋医学の最新の研究成果

NHKでまた東洋医学の番組が放送予定です。鍼灸や漢方などの最先端の研究を取材した科学番組です。
番組では世界的な医学雑誌に掲載された足三里の抗炎症効果に関する研究も取り上げられます。
鍼による抗炎症効果は精神科領域の鍼灸治療にも大きく関わりますので、精神疾患に対する鍼灸のメカニズムを紐解くヒントにもなります。

ぜひ東洋医学の最新の研究成果をご覧ください。

番組名:フロンティア「 東洋医学とは何か」
放送予定:
2月8日(木) 22:00〜22:59(BSP4K)
2月14日(水)21:00〜21:59(BS)

参考までに足三里の抗炎症効果に関する英語論文の一部を下記にリンクします。

Dopamine mediates vagal modulation of the immune system by electroacupuncture
naturemedecine, published  23 february 2014

A neuroanatomical basis for electroacupuncture to drive the vagal–adrenal axis
Nature, published 13 october 2021

講習会での学び「精神科領域の鍼灸治療の最前線」に行ってきました

令和5年度第4回東京都委託施術者講習会「精神科領域の鍼灸治療の最前線―医鍼連携のネットワーク構築を目指してー」に参加してきました。講習会が行われたのは2023年10月29日です。非常に有意義な講習会でした。

昨年11月に「ほうれい線は原因から治す 美容鍼セミナー」に行ったことをこのブログで書きました。「東京都はりきゅうあん摩マッサージ指圧師会(通称都師会)」が東京都委託事業として開催している講習会です。無料とは思えない中身の濃い講習会で定評があります。

今回の講師は松浦悠人先生。東京有明医療大学でうつ病の臨床研究をされています。科学的エビデンスに基づいた最新情報も盛り込みながらわかりやすく説明してくださいました。NHKの「東洋医学ホントのチカラ」でパニック障害などのメンタルヘルスに対しての鍼灸治療について出演された先生でもあります。

講習会で学んできたものを抜粋でまとめます。

 

生涯にうつ病になる人の割合がどのくらいかご存知でしょうか。5.7 %(20人に1人)です。うつ病になった人が医療機関を受診した割合は30.3 %だそうです。少ないですね。まだ精神科に対する偏見があるのかもしれません。

うつ病とは – うつ気分、うつ状態、うつ病は違う

〇うつ気分→憂うつだったり、気分が落ち込んだり、だれでもなります。
〇うつ状態→抑うつ状態が強く、うつ状態の原因が明らかなことが多いです。仕事、家庭、人間関係のストレスなど。でもうつ病ではありません。うつ状態とうつ病は違います。
〇うつ病→うつ状態の原因は問わない。抑うつエピソード、DSM-5の基準に則って診断します。DSM-5とは米国精神医学会の精神疾患分類で「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」の頭文字をとったもの。DSM-5の5は第5版です。

★うつ病の臨床症状

初期症状 → → → 重度
空虚感 抑うつ気分 絶望感
楽しくない 興味の消失 喜びの消失
おっくう 食欲減退 体重減少
中途覚醒 不眠 夜が怖い
疲れが抜けない 疲労感 動けない
自分はダメだ 罪責感 罪業妄想
ミスが増える 集中力低下 思考停止・焦燥
楽になりたい 希死念慮 計画・行動

鍼灸師はうつ病の診断が目的ではありませんが、うつ病を疑う特徴を知っておくことも大事だと思います。

うつ病の標準治療 – 薬物療法

薬物療法がうつ病のメジャーな治療法ですが、アメリカの研究では最初の抗うつ薬によって寛解が得られる患者は全体の3分の1程度。抗うつ薬治療の継続率は3ヶ月後には50%、6ヶ月後には30〜40%に低下してしまいます。

抗うつ薬 気分をよくする
抗精神病薬 興奮を抑える
気分安定薬 気分を安定させる
抗不安薬 不安をとる
睡眠薬 眠りをよくする

うつ病になる仕組み

うつ病の患者さんはたくさん症状を訴えます。頭痛、肩こり、腰痛、便秘、下痢、など。多愁訴には鍼灸治療で対処することができます。うつ病の患者さんはなぜ沢山の症状を訴えるのでしょうか?

身体がストレスに晒されるとまずSAM系自律神経の経路が働きます。免疫システムに働きかけて炎症を促進する反応が出ます。炎症が促進されると脳内のモノアミンという物質が出ます。モノアミンとはセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン等の気分に関わる神経伝達物質です。モノアミンが減ると気分の状態が悪くなります。
そこで働くのがHPA系(ホルモン系)です。HPA系が働くと副腎皮質からコルチゾールが出て炎症がなくなります。健常な場合は自律神経とホルモン系がバランスを取り合って炎症を調節してくれます。
ところが、これが持続的な慢性ストレスになってしまうとホルモン系が働き続けて副腎皮質が疲れてしまいます(副腎疲労)。炎症抑制反応が起きず、炎症反応だけが残ってしまいます。うつ病とは「脳の慢性炎症の状態」なのです。
下の図は講習会の資料を基に作成したものです。

 

モノアミン仮説

〇ドーパミン 快感・欲動 →「楽しみの喪失」
〇ノルアドレナリン 覚醒・集中・意欲 →「意欲低下」
〇セロトニン 情動・睡眠 →「緊張・焦燥」

ホルモンがお互いに作用しあっています

うつ病は脳の病気です。脳の慢性炎症を起こして、「中枢性感作」という状態になっています。中枢神経の感受性が変化した状態になっていて、脳のちょっとしたことで症状が出てしまう状態です。
脳が過敏になって脳の閾値が下がってしまうと、普段は抑えられていた身体の症状が表に出てきます。中枢性感作の方は精神的苦痛を身体的症状に転換してしまうsomatizationという状態が起こります。この状態になると気分だけではなく身体の症状を訴えます。

うつ病の鍼灸医療の考え方

松浦先生の考え方ですが、おそらくスタンダードな考え方だとおもいます。

  1.  中枢の機能異常の改善
  2.  身体症状の改善(身体からのアプローチ)

1.中枢機能改善のために行う施術
・身体の脳機能を改善させるツボの使用。
・頭皮鍼通電 頭部のツボ 百会 神庭 印堂 → 三叉神経の刺激が目的

三叉神経、顔面神経、頚神経を刺激して脳血流を改善

これらはうつ病だけではなく、線維筋痛症などにも応用できます。

2.身体症状の改善
これに関しては従来の鍼灸治療で対処できます。筋肉、骨格系、神経系に対しては現代医学的な経穴処方、自律神経系、内科系に対しては東洋医学的鍼灸治療の基本に則って治療します。

胸腹診、背中の反応を診ます。これに関してはブログでは省略。ここが一番ミソだったりするのですが情報量が多く、専門的なので臨床に活かします。

「足三里」のツボについて

足三里という有名なツボがありますが、足三里は世界で初めて解剖学的に効果が証明されたツボです。足三里には抗炎症作用があることが分かっています。うつ病は脳の慢性炎症なので抗炎症作用のある足三里が良いと言われています。
胃腸に効かせたい時は浅刺しでいいのですが、足三里の筋膜の奥に迷走神経を賦活させる神経があることが分かっています。最近は世界でも足三里の通電がよく行われています。抗炎症作用を狙うときは骨膜付近に深刺しをして鍼通電します。同じ足三里でも目的によって刺激方法が変わります。抗炎症を目的にする場合は低強度、微弱な電気で良いとのことです。

鍼灸と精神医療の連携について

鍼灸師と精神科をつなぐネットワークについてのお話もありました。精神医療の学びの場、情報の共有、症例検討などすでにオンラインの勉強会があります。将来はさらに連携強化をしていきたいという目的をお持ちでした。精神科医と鍼灸師をつなぐネットワークのメルマガの紹介もあったので私も早速登録しました。
鍼灸院に来院する方の10 %は精神科・心療内科へ通院しているようです。実際はもっと多いかもしれません。将来的に精神分野を学ぶ場、鍼灸院のリスト、医療連携があると臨床でも役立つと思います。

講習会に参加して

うつ病の方は結構来院されています。自分からうつ病だと言う場合なので、言わない方を含めるともっと多いのだと思います。少しでも知識のアップデートをしたいのと、臨床の役に立てば良いと思って講習会に参加しました。今回の講習会はうつ病だけではなく、不眠や慢性疼痛、他疾患の方にも応用できる内容でした。早速臨床に取り入れています。実技では腹診や背中の診方、鍼通電の方法やコツもとても丁寧に教えてくださいました。
うつ病は誰でもなり得る病気です。疲労やストレスは溜めないに越した事はありませんが、投薬と鍼灸治療を併用した方が併用しないグループよりも予後が良いことも分かっています。鍼灸治療という選択肢がもっと世に知られて欲しいと思います。

ドイツの世界演劇祭が無事終了しました

ドイツの世界演劇祭が無事終了しました。
始まる前は心配な面も多かったのですが、蓋を開けてみたら『鍼を打つドイツ版』は大成功に終わりました。
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上の画像は鍼を打っていない時に流れているビデオ映像です。『Performing Acupuncture – Mmomose Aya 鍼を打つ 百瀬文』の作品の流れが分かるようになっています。ビデオにも鍼師役で私が出演しました。『鍼を打つ』の演目はカーテンの中で行われています。下の写真がそうです。

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鍼を打つ側としては、日本人とドイツ人や英語圏の方々とのコミュニケーション方法の違いがはっきりと現れていて面白かったです。『Performing Acupuncture 鍼を打つ』では鍼師と打たれる側との言語によるコミュニケーションがありません。日本人の方々にも鍼を打ちましたが(わざわざ日本からフェスティバルに来ている方が結構いました)、日本人の方々は初対面の鍼師を目の前にして、緊張もあるのか目を合わせようとはしません。ドイツ人や英語圏の方々は鍼を打たれている間にも目を合わせてくる方が結構いて、中にはニコッと微笑んでくる方もいました。コミュニケーション方法が限られている中でもコミュニケーションを取ろうとするんだなと関心しました。

 

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今回は現地の「鍼師」の方も参加されていて、色んなお話をすることができたのも面白かったです。ドイツでは自然療法士・Heilpraktiker(ハイルプラクティカー)という国家資格があって、自然療法士の資格を持っていないと鍼を打つことができません。今回のドイツ側の鍼師さん達は自然療法士と医師の方々でした。

自然療法士の資格を得るのはかなり難しく、合格率は20%ぐらいとのこと。自然療法士の資格を取ってから自分たちが興味がある代替医療を提供するようです。全ての自然療法士が鍼をするわけではないということです。西洋のハーバル療法、漢方、オステオパシー、ホメオパシー、等の様々な代替療法を行っており、鍼をやっている自然療法士の方々が今回のフェスティバルに鍼師として参加していました。

 

日本でも鍼灸師になるのは高校を卒業をしてからすぐではなく、社会人を経験してからの方が多いですが、ドイツの自然療法士さん達も別の仕事を経験してから自然療法士に挑戦する人が多いようでした。ドイツ人の自然療法士さんたちが百瀬文さんのPerforming Acupuncture を気に入っていました。独特の世界観を持った『作品』なので、鍼を打つ側もなかなか面白い体験ができます。

 

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Performing Acupuncture のクレジット。実際の演目の中での鍼師とビデオの中の鍼師役の役者のように書かれています。

 

ドイツ人の脚が長いこと、身体が大きいこと。民族の体格の違いは街の風景も変えます。

6/24(土)〜7/12(水) 中島はドイツ出張です

コロナ禍の2021年3月、東京で触覚と聴覚の体験型セラピーパフォーマンス『百瀬文 鍼を打つ Aya MOMOSE “Performing Acupuncture”』が行われました。中島も鍼師として参加しました。衝撃のパフォーマンスだったようで、大成功に終わりました。

★その時のことを2021年4月にEDOのブログでもちょこっと書いています。
シアターコモンズ’21 百瀬文「鍼を打つ」に出演しました

2023年6月29日〜7月16日の期間、3年ごとにドイツの異なる都市で行われている『世界演劇祭 テアター・デア・ヴェルト(Theater der Welt)』がフランクフルトFrankfurtとオッフェンバッファOffenbachで開催されます。1981年にケルンで第1回が開催されました。そこに百瀬さんが招かれました。
鍼師がいなくては成り立たないので、前回の経験をしている鍼師を一人ぐらい日本から連れて行きたいということになったようです。光栄なことに中島が日本から参加する事になりました。自分の体が舞台となる前代未聞のユニークな体験型パフォーマンス。「心に響く」鍼がヨーロッパ初上陸です。

★『世界演劇祭 テアター・デア・ヴェルト(Theater der Welt)』の百瀬さんのプログラム
Performing Acupuncture – Aya Momose (English / Deutsche)

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今回は世界演劇祭のすべての来場者が『鍼を打つ』の疑似体験ができる映像スペースも会場に作るようです。その撮影がドイツである為、私も会期前からドイツ入りします。定期的に中島が担当している方々には大変申し訳ないと思いますが、その間は他の施術者で代診可能です。貴重な経験を積んで更にパワーアップして帰って参ります!

中島瑞穂 Mizuho NAKAJIMA

東京都委託講習会「ほうれい線は原因から治す 美容鍼セミナー」

11月27日(日)に公益社団法人 東京都はりきゅうあん摩マッサージ指圧師会主催の講習会に行ってきました。

 

東京都委託の講習会なので、なんと、無料です。(セミナーや研修会の費用は結構な高額なことが多いので無料なのは特筆すべきことです。)

鍼灸師の技術向上のために東京都からお金を頂いて開催している講習会です。講師陣も著名な先生方が多く、知る人ぞ知る美味しい講習会です。

 

『ほうれい線は原因から治す』という魅惑的なタイトル。果たしてどんなものかと思って申し込みしましたが、非常に良かったです。

耳つぼのポイントを利用して治療する方法ですが、耳に刺すわけではありません。元々は難病のシェーングレン症候群に対する治療で行っていた方法でした。美容鍼は別の病気の治療で行っていたけど、美容にも効果があるから応用しているというものが多いですね。

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講師の先生は明智光秀の子孫の荒深 公泰(あらふか きみひろ)先生。情熱的でしかもとても丁寧。「ああ、こういう先生に診てもらいたいな」と思います。会場の全員が指導を受けることができました。zoom配信で講義を受けている人達も沢山いましたが、その人たちもツボの場所確認を画面で先生がチェックしていました。

足の歪みが顔の歪みにもつながっているということで、足の方をやってからお顔の方にアプローチ。元々シェーングレン症候群に行っていた治療というだけあり、唾液も出て消化機能にも良い影響を与えます。

ほうれい線をうたっていますが、お顔の骨格へのアプローチです。つまり顎関節症にも効果的。お顔表面に打つわけではないので内出血も気にしなくてもよい。良いことだらけの方法です。ただ、今までのやり方を変えなくてはいけません。どのように取り入れていくかも考えていきます。

 

中島ブログ

 

 

頭蓋骨にあるツボの講師をしてきました

先日、頭蓋セラピストのセミナーの一環で頭の経絡のツボの講師をしてきました。

本来なら1月に行われる予定のセミナーでしたが、まん延防止重点措置が発令され、やっとリアルでの対面セミナーが終了です。

 

セミナーのために臨床でよく使う頭のツボを選別し、解剖学的な位置と効能についてまとめました。

 

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頭のツボは臨床でもよく使いますが、私たちは体全体のバランスを診て治療をします。頭のツボに鍼を打つとしてもそこだだけを診ているわけではありませんし、効果もひとつではありません。

 

あえて経絡の話も入れてお話をしました。それが良かったです。頭のツボについてだけではなく、経絡にも触れたことで話が広がりました。自分の担当が終わった後も残ってセミナーを聞けたのもよい刺激になりました。ズームやウェブの勉強会やセミナーが増えましたが、体を触らないと分からない分野では実際に集まるのは貴重な機会です。

 

選んだツボすべての解剖学的情報を書くのはなかなか大変でしたが、やってよかったと思います。

 

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豊岡演劇祭2021・百瀬文『鍼を打つ』に出演します

9/9㈭~9/15㈬兵庫県に出張致します。2021年3月にシアターコモンズ’21 百瀬文『鍼を打つ』公演に鍼師として出演しました。鍼(はり)が身体に侵襲する「感覚・響き」と自分の内的感情の共鳴を体感するアート。治療という概念を持ちつつ、同時に鍼が身体に与える感覚と心的刺激をアートにする新しい試みです。前代未聞の体験型アート作品なので、物珍しさに英国BBCラジオが取材に来ました。

リンクをクリックするとラジオが聴けます。(音声は英語です)
BBC Sounds : The Culture Frontline – Experimental theatre in Tokyo (27 minutes)

BBCラジオ、こちらです

 

特別な問診票には通常の鍼灸院で問われる問診に加え、プライベートな問いが並んでいます。その問いをイヤホンで聴きながら鍼を打たれます。

「自分が正しい事をしていると思うと安心する」
「手放したいものがある」
「国境はなくてもいいと思う」

そんな百瀬文さんの作品『鍼を打つ』第二弾が9月に開催される豊岡演劇祭2021のプログラムで再演されます。私も再び出演することになりました。会場は志賀直哉が『城の崎にて』を執筆した老舗旅館の三木屋です。

期間中は代診で治療を承ります。ご理解の程、どうぞよろしくお願い致します。

 

豊岡演劇祭2021 百瀬文『鍼を打つ』

※追記 兵庫県にも緊急事態が発令されたため、残念ながら豊岡演劇祭自体の中止が決定しました。

 

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シアターコモンズ’21 百瀬文「鍼を打つ」に出演しました

3月前半にシアターコモンズというフェスティバルの中のセラピーパフォーマンス、百瀬文「鍼を打つ」で鍼師として出演しました。

百瀬文「鍼を打つ」

 

シアターコモンズについてはディレクターの相馬千秋さんがイベントホームページに記載しているので、そちらをご覧ください。コロナ禍だからこそ集まり方を工夫した珠玉のプログラムの数々で大成功に終わったようです。そのうちの1つは、第24回 文化庁メディア芸術フェスティバル アート部門で大賞を受賞されていました。

 

シアターコモンズはアートや演劇関係の方々にとっては知る人ぞ知るフェスティバルです。来場されていた方々もコアなファンの方々や新しいものへのアンテナを張っている人たちなんだなという印象を持ちました。私の個人ブログにシアターコモンズの体験について書きましたらもの凄いアクセス数がありました。関係者の方がSNSで紹介してくださったせいもあるかもしれませんが、それだけシアターコモンズのファンがいるという事だと思います。百瀬さんのプログラム「鍼を打つ」は予約開始から二日で完売してしまったそうなので、相当な人気ぶりだったようです。

 

「鍼を打つ」は通常の鍼施術とはかなり違う体感パフォーマンスです。施術者も体験者もイヤホンを付けて、イヤホンからは「特別な問診票」の文章が聞こえてきます。問診票にあらかじめチェックを付けてもらい、鍼師はそれを読んで解釈をします。
問診票には体の状態を問うものも書かれていますが、通常の問診表ではありえない、戸惑うような種類の方が多いです。中には、こんなのにチェック入れる人いるのかな?と思ったものもありました。その設問にチェックを入れている人もいて内心ギョッとしたり。私の方もそれぞれのチェックの入れ方を見て、考えるのが面白かったです。

 

設問はこんな感じです。

「国境はなくてもいいと思う」
「手放したいものがある」
「寂しい」

プライベートな領域の質問です。人に話す事はなくても、自分の内側では大きな位置を占める種類のものが半分以上。質問に答えるのも一種のセラピーではないでしょうか。

 

ベッドに横たわると、その設問の文章がイヤホンから聞こえてきます。
そんな言葉を聴きながら、無言で鍼を打たれます。
鍼が初めての人も多かったようですが、相当に特殊な体験だと思います。「身体が劇場になる」という紹介がありましたが、その表現は正しいかもしれません。

 

鍼を打つ方にとっても特別な体験でした。何も話さずに鍼を打つことはないので新鮮です。普段は問診で色々な話を聴いてから鍼を打ちます。打たれる側にとっては、初対面の人に(しかもマスクで目しか見えない)身体を触られ、鍼を打たれる。しかも、特別な問診表は心の琴線に触れるような内容だったので、自分自身の感情との対峙をしながら鍼の侵襲を受けるという滅多にないセラピーです。

制限がある中で鍼を打ったことで、沢山の気づきがありました。このイベントを体験したことで、普段の臨床についても考えさせられる事が多く、非常に勉強になりました。

 

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好評だったので再演があるかもしれません。特別な問診票の内容については一部に留めておきます。

 

制作の方が写真をくださったので、リハーサルの時に撮った写真を貼ります。出演した鍼師達、スタッフの方々です。

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©シアターコモンズ’21 / photo: Shun Sato

癌の疼痛緩和治療に枇杷葉灸

先日、枇杷葉灸の自然療法の勉強会へ参加してきました。枇杷の葉を使ったお灸の治療です。

私も「枇杷の葉エキス」でお灸をしたことはありますが、本物の枇杷の葉を使ったやり方を体験したことはありません。今回は友人の鍼灸師がセミナーに誘ってくれてラッキーでした。

枇杷の葉灸

枇杷の葉をガンの疼痛緩和に使うのは鍼灸師の間では結構知られています。
ガン以外の効果もありますが、癌の疼痛緩和で有名になってガン患者さんが沢山行く鍼灸院もあります。

実は、私が行ったセミナーにも癌患者さん達ご本人が参加していました。やり方を覚えて家で家族にやってもらう為です。通常のセミナーには医療関係者ばかりが来るものが多いので、 サービスを受ける側の方々が 参加されていた事がとても勉強になりました。
鍼灸師ではない方々がお灸が燃えているのを見てこんな反応をするんだな、というのも見ていて楽しかったです。

枇杷の葉はお灸だけではなく、粉やお茶として摂取する方法もあります。痰を除いたり、炎症を取る作用があるので、辛夷清肺湯という鼻詰まりの漢方薬などに入っています。

 

枇杷葉灸の効果はなんでしょうか。先生の説明を下にまとめます。

1. まず、枇杷の葉の薬効を皮膚から入れることができること 。(枇杷葉茶や枇杷葉粉の内服とは違う作用を体に及ぼします)

2. お灸はヨモギの葉を使った艾(もぐさ)を使うので抗がん 効果がある

3. 棒級を使うので遠赤外線で体を温め、体の深部体温を上げる

4. お灸によって血流が良くなることで、代謝を良くして解毒作用を上げる。特に肝臓の解毒量が増加する。

 

EDO鍼灸治療院ではあまり癌患者さんが疼痛緩和の為に来院することはありませんが、癌患者さんが多く行く治療院では毎日やっています。枇杷葉灸の経験豊富な鍼灸院を紹介できます。知りたいという方は申し出てください。

 

 

 

 

 

 

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剣術始めました

今年4月から剣術を始めました。

剣道ではなく、剣術。古流武術です。
まだ始めたばかりで地道な基礎練習が主です。流派は宮本武蔵の二天一流。新陰流です。

自分の健康管理の為にも何か行動を起こしたい…と思っていた矢先、鍼灸の先輩の家で剣術の先生に出会いました。
その先生とは「宮本武蔵の二刀流などの古流武術から学ぶ 鍼灸師として役にたつ剣術ワークショップ」
の講師をしていた 高無 宝良(たかなし たから)先生。

お名前は知っていましたし、セミナーに参加した鍼灸師仲間から評判も聞いていました。実際にお会いして見ると、面白くて気さくな先生。「なるほど、この先生なら!」と思って剣術稽古体験に足を運び即決しました。

鍼灸師も長時間同じ姿勢で治療します。古代人ではなく現代人の鍼灸師、なかなか身体的・精神的ストレスが溜まるのです。

剣術は木刀を振る時に腕をあげるので胸郭や肩甲骨のストレッチにもなりますし、下半身や肚を使います。稽古をしているだけで下半身の基礎体力が自然につきます。稽古をすればそれだけの結果も付いてくる。
稽古無くして上達はありません(笑)。

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↑剣術稽古風景

 

個人的には、剣術が終わった後のなんとも言えない精神の高揚感が非常に気持ちが良いです。
これも私にとっては浄化作用。自己養生、自己治癒へ通じるものです。

剣術を始めてから仕事がとても楽になりました。姿勢など色々なものが変わってきたからでしょう。
良い仕事に還元する為にも、Let’s 剣術!

中島

 

 

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