東洋医学では、春は五臓の「肝」が亢進しやすい季節だと考えられています。肝とは血を貯めておく貯蔵庫であり、気を全身にめぐらす働きも担っています。いまでいう自律神経のバランスを整える機能と近いかもしれません。

肝の亢進(働き過ぎ)が続いていると、感情が高ぶりやすくなったり、のぼせやすくなるという状態になります。眼の周囲や鼻の粘膜でも、充血が起こりやすくなるので、スギやヒノキの花粉がさらに刺激して、眼や鼻の周囲の炎症を悪化させる事もあります。

花や草木の芽が吹き、それまで静かにしていた動物や昆虫が外に飛び出し、川や海に住む生き物まで自然の全てが活き活きと栄えてくる丁度いまくらいの季節は、発陳(はっちん)と呼ばれていて、漢方の古典書にはこの時期に行うと良いとされる養生法が書かれています。

『植物たちが芽吹くように、枝が上へ上へ延びるように、冬の間眠っていたものが発散され、外にのびやかに現れてくるので、それを押さえつけず、のびのびとすごすのがいい。

・日の出日の入りに合わせるように、少し遅く寝て少し早く起きる。

・外出は楽な格好でゆったりと歩く。

・体をのびやかに動かし、春に芽生えた万物と同じように、心身ともに活き活きと活動する。

もし、養生法に逆らって、活動しなくて気持ちが沈んだままだと、肝を痛め傷つけ、夏になっても汗をかけなくなり、寒性の病にかかりやすくなる』とされています。

連休で生活のリズムが乱れた方もいるかもしれません。出来そうな春の養生法を取り入れ、次の季節に備えて下さい。

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