症例報告:胸の重苦しさ
40代 性別男性
10年前より、胸の重苦しさを感じることあり、しばらく落ち着いていたが、最近胸が引っ張られるような感じと動悸がして辛い
【 お困りの症状】
・胸の重苦しさ、引っ張られる感じ、動悸
・症状が出ると仕事もできない
・寝つきの悪さ 1・2時間かかる
・10年程下痢あり
症状の出ている部位 両乳頭の間・胸骨部凹んで見える
【 お身体の状態と見立て】
・お腹を見ると、胸骨の部分が凹んでいるように見える
・下腹部(おへその下)を触ると、冷えとベコベコと弾力が無い 小腹不仁
・季肋部(みぞおちの横側)に硬さあり 胸脇苦満
下腹部の冷えと力のなさは小腹不仁とよばれ足腰下半身の力が少ない状態を表します。
みぞおち周りの硬さは胸脇苦満といい精神的ストレスが続くと出る所見です。
下腹部に力がない方は、お腹上部に緊張が見られることが多く、上半身が緊張やすく下半身が力がないという特徴があります。
この方の場合、肋骨、背部の筋肉の緊張が強く、呼吸時に胸が開きづらくなり胸の苦しさが出ていると考えられます。
【 鍼灸施術と経過 】
このように上半身に緊張し下半身に力がないような状態を改善するには、先ず上半身の緊張を緩めると同時に下半身に力が入りやすい状態を作ることが大事です。
実際の施術内容
・胸、首、肩、背中、緊張の出ている部位に鍼+透熱灸(ちくっと熱い灸)
・骨盤周りのツボ、下腹部に鍼+温灸(気持ちよい暖かさの灸)
2週に一回の施術を行う。
施術毎に上半身の緊張が緩むと共に症状は出にくくなっている。
仕事に追われていて寝つきが悪くなることがあり、症状の再発することもあるが長くは続かない。
胸骨部の凹みは目立たなくなってきた。骨の変形によるものと思っていたが、周りの筋肉の緊張の影響により凹みが出ていたのではと思われる。7回の施術時には胸の症状は治まっている。継続して症状が出にくい体作りのために施術を行っている。
【 担当よりコメント 】
鍼灸では身体の緊張している部分を実。力がない冷えている部分を虚と表します。
緊張している実の部分は比較的早くとれますが、虚の部分は長い生活習慣の中でできた疲労や冷えの蓄積となった部分で、虚の状態が強くなると、じっくりと施術を行っていく必要があります。また生活習慣の改善・工夫も必要となります。
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