AIの社会進出が目覚ましいです。AIが世に出始めた頃、鍼灸などはAIに取って代わることができないだろうと考える人達の方が多かったように思います。

2015年に英オックスフォード大学と野村総研が発表した研究では、医療関係はAIとの協働は進んでも、AIによる仕事の代替は不可能とされていました。また、『AIによって新たに生まれると予測される仕事』に『散歩相手や会話相手』と挙げられていました。鍼灸院には会話をしにきている方々も多いです。でも、会話相手としてAIは既に広まり始めています。既にこれもAIで代替可能となりつつあります。

「人工知能( AI :Artificial Intelligence:アーティフィシャル・インテリジェンス)」が人間らしい行動様式まで学習するとなると、今よりももっと代替が進む気配があります。人間らしさは機械に置き換えられないと断定できません。外見は人間のようなアンドロイドや鉄腕アトムのようなロボットが人間らしいコミュニケーション能力を備える日が来るかもしれません。AIアンドロイドが自動的に体温・血圧・浮腫・炎症箇所などを計測、レントゲンも撮れるような時代、それが当たり前になるのは遠く無いかもしれません。

鍼灸師が患者さんに接する時、「望・聞・問・切(ぼう・ぶん・もん・せつ)」という四診法(ししんほう)を用います。

望: その人を視覚で見た時の印象。舌診と言って舌の状態も診ます。
聞: 聴覚と嗅覚によって診断する事。声の感じ、体臭や口臭も診断の参考になります。
問: 患者さんと話しながら診断します。
切: 患者さんの身体を手で触れて診断します。脈を診たり、お腹の状態を触診します。

施術を行う側も人間なので主観が入ります。診る人によって感覚が違う事は良い点にも悪い点にもなり得るでしょう。膨大な患者さんデータを持つAIの方が向いている所もあるかもしれません。

先日、医療関係者は人間らしくあって欲しいと言っていた患者さんがいました。人間でも疲労や多忙な故に機械的になることもあると思います。その患者さんは医療機関での『人間らしくない』対応に不満があるとの事でした。

『人間らしく』対応するという事をその方との会話で考えさせられました。目に見えて変化しているAI社会を見ていると、2015年時点の研究もアップデートされるかもしれません。人間は疲労します。疲労や体調によって『人間らしさ』を失うことは誰でもあります。自分の疲労の声を聞いて、人間らしく対応ができればいいなと思います。

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