ALS(筋萎縮性側索硬化症)についての映画
先日「君がくれたグッドライフ」という映画を見てきました。
ドイツ映画ですが、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された36歳の男性が仲間とベルギーまで自転車旅行をするというお話です。ベルギー行きには理由があって、ベルギーは法的に尊厳死を認めているからでした。
この映画は言ってみれば、ベルギーに死にに行くようなもので、死についてを扱った重いテーマの映画です。でも、実際には死よりも生を描いていました。ALSの症状が出ていても必死に生きている主人公の姿、安楽死を選択したことに対する仲間達のとまどいとそれを受け入れる姿が描かれています。死と生についてのメッセージを感じました。
ALSとは筋肉が徐々に衰えていき、最終的には呼吸筋にまで及び、人工呼吸をつけなければ死に至ってしまう難病です。
実際に自分がALSと診断されたら果たしてどういう行動をとるでしょうか。
2014年に日本在宅医学会の浜松大会に参加しました。その時、神経難病のシンポジウムがあり、実際にALS患者の方も演題に立ってお話をされていました。綺麗ごとでは済まない赤裸々な内容で、会場にはすすり泣きがたくさん聞こえていました。
実際にALSの告知を受けた当人にとって、打撃は並大抵のものではありません。ドイツ映画の主人公は安楽死を選択しましたが、日本では法的に尊厳死が認められるのは相当な時間がかかるか、無理でしょう。
当事者の方が話していたことに、以下のようなものがありました。
「人生のピークは健康な時とは限らない。ALSの告知後は人生が終わったと感じたが、病がもたらしてくれた成長や出会いは人生を豊かにしてくれる。人生が上がっていく時ではなく、下がっていく時に目標をみつけられるのか?」
病気になっても、夢の中では自分は健常者なんだそうです。心の中ではあきらめきれていない。それでも変わらざるを得ない。
最近は「終活」も流行っていますが、前触れもなく突然やってくる病もあります。
命にリミットがあると分かった時、あなたならどうしますか?
中島
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