「美容鍼(びようばり)」は随分と市民権を得てきているようですね。EDOに来る患者さんでも「(普通の)鍼はやったことがないけど、顔(美容鍼)はやったことがある」と言う声をよく聞きます。

 

「美容鍼」という言葉から顔に鍼を打つのは美容目的というイメージが先行しているようですが、お顔や頭皮に鍼を刺すことは美容目的だけではなく、お身体の状態を整えるのに有効です。

コロナ禍でマスク生活が長引いていますが、長時間マスクをつけることで私達に起こる弊害は甚大です。コロナ禍以前から、顔や頭皮は強ばりやすい事は鍼灸業界ではよく知られていました。目を酷使する人は特にそうですが、マスクで顔の表情筋を動かしにくくなり、筋肉の緊張がより強くなっています。咬筋や側頭筋などの顎を動かす筋肉が固定された状態でいるので、顎の周りが緊張して、首、肩周りの血流低下にも繋がります。呼吸が浅くなって、胸や背中が硬い人も非常に多いです。

 

長時間のマスク生活でよく聞かれる症状は沢山あります。「頭が重い。頭痛がする。耳周りが痛い・違和感がある。噛みしめてしまう。目の疲れが酷い。顎に違和感がある。ほうれい線が深くなった。顔のむくみ、たるみがひどい。

 

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咬筋、側頭筋の図(ヒューマン・アナトミー・アトラス2021  Visible Body ビジブル・ボディの提供による画像)

 

噛み締める筋肉、咬筋や側頭筋が硬くなっている人が多いので、お身体に加えてお顔にも鍼をするとよりリラックスすると言う人が多いです。お身体だけに刺すよりも効果が得られます。
全身に鍼をした上で顔や頭皮にも鍼をするというのがポイントです。お顔だけに鍼をすると、顔だけの血流が促進されてのぼせてしまう人もいます。顔の筋肉がほぐれると気分まで楽になる人が多く、最近多い「抑うつ症状」にも効果を感じます。緊張で頭や耳周りを触ると痛いという人がいますが、頭の緊張を取ることで気分も明るくなります。

 

鍼灸治療の基本は悪い部分だけではなく体全体のバランスを良くすることです。主訴が腰痛でも便秘が改善したという人がいましたが、鍼灸治療ではその人の体の免疫機能をバランス良くします。

 

マスクを着けていない時に、意識的に顔の表情筋を動かす習慣をつけたり、上の図にあげた側頭筋を自分でマッサージするのもおすすめです。頭皮やお顔に鍼を刺すことは美容のためにするだけのものではありません。美容鍼という名前、変えた方がいいかもしれませんね。

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